『安楽死と尊厳死の現在――最終段階の医療と自己決定』中公新書
安楽死・尊厳死の現在 -松田純 著|新書|中央公論新社
21世紀初頭、世界で初めてオランダで合法化された安楽死。同国では年間6000人を超え、増加の一途である。容認の流れは、自己決定意識の拡大と超高齢化社会の進行のなか、ベルギー、スイス、カナダ、米国へと拡散。他方で精神疾患や認知症の人々への適用をめぐり問題も噴出している。本書は、〝先進〟各国の実態から、尊厳死と称する日本で...
目次
序 章 肉体的苦痛の時代――戦後日本の事件と判決
第1章 安楽死合法化による実施――世界初のオランダの試み
1 続発した安楽死事件――21世紀初年の法成立まで
2 「死の医療化」の実態――年間6000人、全死亡者の4.4%へ
3 精神的苦痛の拡大解釈へ――精神疾患と認知症
第2章 容認した国家と州――医師と本人による実施
1 安楽死「最も寛容な国」ベルギー――子どもの”死”の容認
2 ルクセンブルク――国家元首の反対、憲法改正による導入
3 医師以外の実施も認めたカナダ
第3章 介助自殺を認めた国家と州――医師による手助けとは
1 オレゴン州の尊厳死法――米国内の拡大の流れ
2 民間団体に委ねたスイス――法規制の断念と「自殺ツーリズム」
第4章 最終段階の医療とは――誰が治療中止は決めるのか
1 特異な日本の「尊厳死」――安楽死と何が違うのか
2 事前指示書からアドバンス・ケア・プランニングへ
3 日本で法制化は必要なのか
第5章 安楽死と自殺の思想史――人類は自死をどう考えてきたか
1 キリスト教からの脱却――古代から近世
2 ダーウィンからナチスへ――優生思想の台頭、国家の介在
3 自己決定権の時代――自死の権利は基本的人権か
終 章 健康とは何か、人間とは何か――求められる新しい定義
1 「自律的な存在」モデルの限界――岐路に立つ生命倫理学
2 「完全に良い状態」の終焉――変更を迫られる医療目的
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